営業チームにとって、新規見込み客の獲得と取引成約は重要なミッションですが、その両立は簡単ではありません。そんな営業チームの課題に応えるのがSales Engagement ツール「Outreach」です。「Outreach」を活用することで、着電した顧客の反応に合わせてメールを自動で送付する設定や顧客の属性に応じて、事前に用意したメールテンプレートをGmail上から簡単に呼び出し、工数をかけずにメールアプローチを最適化することができます。今回は、GLナビゲーション株式会社が実際にOutreachを導入した結果、生産性が2倍改善した活用方法について、インサイドセールスチームの島崎敬太氏にお話をお伺いしました。※こちらは下記の記事の転載です。https://talento-act.com/archives/556島崎敬太氏の経歴23年4月、新卒でGLナビゲーション株式会社に入社。2022年8月からインターンを開始し、インサイドセールスとしてsalesforce、Marketo、Outreachに触れる。2022年12月のインターン時期に、社内にてOutreach導入後の保守運用改修を牽引。入社2ヶ月後、Outreachにより生産性を上げたことで新卒とインターン生のインサイドセールスの成果(決定数)を約4倍に成長させることに成功。目次Outreach導入の背景――― まず、Outreach導入しようと思った背景を教えてください。島崎さん:Outreach導入の目的は、大きく2点あります。1点目がインサイドセールスの工数削減、なかでもGmailの管理画面上からテンプレートを活用することで、時間をかけずにカスタマイズしたメールをすぐに作成、送信できる機能に魅力に感じました。もう一点がシーケンスです。Salesforceのレポート機能でアプローチリストを作成、それをOutreachと同期させることで、特定の顧客にメールを一括送信、架電するアプローチが可能になります。これまでのやり方だと、メールを送信、架電するなどの作業を1件1件繰り返すアプローをしていたのですが、Outreachを導入することで、メール送信作業はすべて一括で行い、インサイドセールスは架電業務に集中できるなど、生産性改善の観点でメリットが大きいと感じたことが導入した理由です。Outreach導入による生産性改善、3つの成果――― 導入前から期待値が大きかったのですね。Outreachを本格的に導入してから6ヶ月間程経ちますが、実際の業務変化についてはいかがでしょうか。島崎さん:「Outreach」導入によって実現した3つの成果をお伝えいたします。(1)架電数の増加1つ目は、シンプルに架電数が大幅に増加しました。これまでは、1件のリストに対して「架電→メール送付」というフローをリストがある分、繰り返し行っていましたが、「リストへ一斉メール送付→送付先に架電」というフローに変わったことで、大幅に架電数が伸び、生産性が改善しました。「Outreach」導入前の1日の架電件数は40件程度でしたが、導入後に60件程度まで増やすことに成功しました。件数ベースでは約1.5倍の生産性改善ですが、現在は他業務にも時間を使うことができているため、同じ時間を使えたとすると生産性は2倍に増えています。(2)自動のフォローアップメールにより、顧客との商談増加2つ目は、活動量に伴い、インサイドセールスのKPIである「顧客との商談数」の増加ですね。初回メールの返信率は約15%で、仮に10件〜20件のメールを送付すると1〜2件の返信が見込めます。その後のリマインドメールの自動送信により、自分たちの時間を使わなくともさらなる反響が得られます。また、セールストークに迷いがなくなったことも商談数の増加に寄与していると思います。例えば、SAPのような特定の得意領域のコンサルタントを提案する際、「Salesforce」のレポートを活用して、過去の実績・商談履歴からSAP導入に関心が高い顧客のみに絞り込んだリストを作成します。そのリストに対して、カスタマイズされた提案をメールで送付、提案内容に合わせて架電時の訴求する内容やトークが明確になるので、架電時の負担軽減やイネーブルメントにもつながっています。また、しっかりと顧客のニーズ・課題に合わせた提案を行うことで、顧客から感謝の言葉をいただく機会が増えたことも大きな変化ですね。(3)インサイドセールスの時間価値向上に寄与3つ目はインサイドセールスの時間価値の向上です。今回、「Outreach」を導入に合わせてリストの精査を同時に行ったので、本当に価値ある顧客に対して時間を割ける環境を整備しました。また、精査したリストに対して、Outreachからメールを送付、電話で提案、という流れでフォローするようになったことで、顧客の理解度が高い状態、かつ顧客のニーズを事前に把握している状態から会話を進めることができるようになり、架電時間の密度が深くなりました。いわゆる、モノ売り提案から、課題解決型のソリューション提案に変化したイメージです。さらに、「Outreach」管理画面ではタスク一覧を可視化でき、さらに「メール開封・クリックを頻繁にしている」など、エンゲージメントが強い(こちらの提案に対して興味・関心が高い)顧客から優先的に架電することができています。当然ですが、顧客のニーズ・課題を無視した、闇雲なアプローチと比べると明らかに差が出ますし、Outreachを導入したことでKGIであるプロジェクトの受注数が400%向上するなど、インサイドセールスの時間価値が大きく高めることができました。「Outreach」をチームに浸透するポイント 「スモールスタート」「理想から入らない」―――短期間で多くの成果を出されていますね。Outreachを組織・チームに浸透させる際の工夫などもあったのでしょうか。島崎さん:Outreachをチームに早期浸透させる場合、特定個人の活動、特にハイパフォーマーの活動を「Outreach」に落とし込んで圧倒的に成果を出すことが大事だと思っています。導入当初は、「あらゆる顧客の反応を想定して、メールの文章や架電のトークスクリプトを複数パターンで用意し、すべてのシーンに対応できるようにしよう」という話もあったのですが、オペレーション負荷が高く効果検証もしづらいため、まずは「いま行っている業務をOutreachに実装する」ということから始めました。現在の業務の棚卸しと整理をしたうえで、ツールに落とし込むことができれば、比較的負荷が少なく現行オペレーションに組み込むことができますし、実際に施策を実施した結果をもとに、優先的に変更・改善すべきポイントが見え、定着や浸透がスムーズに運ぶという形になります。理想論から始めると無意味にシーケンスの数が増えたり、オペレーションが複雑化しすぎたたり、ツールが使われなくなる結果に陥りがちです。そうではなく、「担当者が現在行っている活動を効率化・自動化する」ということを第一ステップとして実装していく方が導入プロジェクトを進めやすく、ツールが担当者を支援する存在になり介在価値を出しやすいです。余談かもしれませんが、当初は英語に抵抗がある社員がOutreachの英語の管理画面でも使いこなせるのか、という懸念もありましたが、いまではオペレーションがある程度確立できているので、言語の障壁を感じることなく活用できています。まとめ Outreachを活用でセールスチームの生産性は大きく改善!―――最後に、Outreachの導入のプロジェクトを振り返った感想を教えてください。島崎さん:Outreachを活用することで、各営業担当者の生産性向上やパイプラインの効果的な管理を実現し、顧客との信頼関係を築くオペレーションを確立できました。最初は、聞いたこともない海外のツールを導入することに不安はありましたが、導入してすぐに返信率・アポイント率が改善するなど、実務における営業活動の生産性が大幅に向上したと実感できたことは非常にポジティブな要素でした。前述した通り、Outreachを導入する際は、小さな一歩から始め、具体的な目標を持って進めることがポイントです。これからOutreachを導入される企業の方は、理想論から入るよりも、現状の業務を整理していき、実務へ浸透させることに重点を置くと良いと思います。