インサイドセールスは「フィールドセールスになるためのステップ」として扱われるポジションというケースをよく見かけます。「一生懸命頑張ってテレアポをして、アポを獲得したらフィールドセールスにステップアップできる」こんな会話がなされている営業組織は多いでしょう。インサイドセールスはテレアポ部隊として認識されているため、あまり人気が高くありません。ただGLナビゲーションのインサイドセールスは「デジタルセールス」と位置づけられ、インテリジェンスチームとして機能しています。当社が非常に重要にしてることは、会社で通用するスキルだけでなく、労働市場で活躍するスキルを身に付けてもらうことです。目次GLナビゲーションにおけるセールスのキャリアパスの考え方では実際、当社がインサイドセールスのキャリアプランや育成プラン、キャリアパスを作っていくのが望ましいかをお伝えします。インサイドセールスは単純な実行部隊というよりは、マーケティングと営業の両方の要素を兼ね備えたレバレッジ人材です。レベルアップを重ねることで、セールス領域を極めていくことも、汎用性が高いジェネラリストになっていくことも、インサイドセールス自身が選べるようにしています。ベースは「ITツールの習得」:MA・SFAの活用を例にインサイドセールスでまず注力することが「スキルの育成」です。まずはツールの習得をしてもらい、データドリブンな仮説検証、数字を見る力を育成するという風に進めています。当社では、マーケティングオートメーションのMarketoを導入し、SalesforceのSFAと連携させています。Marketoを使って、顧客に対するメール配信(提案業務)とスコアリング(データ蓄積、リッチ化)を行なっています。メールが開封されたりクリックされたりすると、自動で顧客に点数が付けられ、社内のインサイドセールスや営業にSlackで通知がいくといった仕組みです。これらのITツールを自身で活用し、得られたデータを分析して、自身の営業活動に活かす流れを構築しています。GLにおける5つのキャリアパスGLナビゲーションでは、インサイドセールスのキャリアパスは5つに分かれます。順番で言うと、新規のアウトバウンドセールスから始まり、ビジネスパートナーからのコンサルタント集客を行うプロジェクト提案、コンサルタント提案を行い、最後はデータを扱う戦術設計まで、ポジションを上げていく育成プロセスを敷いています。キャリアレベルを上げることによって、ネクストキャリアの選択肢も広がります。 アカウントセールスとして、顧客のニーズ発掘や深掘りを行ったクロージングを行うポジションに行くこともできます。データとツールを活用しながら営業戦略や戦術に落とし込んだり、汎用性の高い施策を行って、営業活動をより生産性の高いものにしていくマーケティングのチームに行くこともできます。 マーケティング・営業に限らず、プロセス全体を把握した上で、どこにボトルネックがあるのか、どんな要因でボトルネックが起きているのか、ボトルネックを解消するためにどんな意思決定が必要なのかを明確にします。課題に合わせて、体制変更やシステムへのオペレーション実装、人員採用などの施策を推進する営業推進のチームに移動することも可能です。①インサイドセールスのマネージャーインサイドセールスとしてマネージャーになるキャリアパスです。ツールを使ったりデータを深読みしたりしていくためのスキルを身につけて、インサイドセールスのマネージャーになること。マーケティングと営業という2チームだと、それぞれのグループで立場が分かれてしまい、対立構造になりがちです。第3者視点を持つインサイドセールスというポジションを設けることによって、両者の意思疎通がスムーズになり、各チームが全体の戦術や方針にあった動きをすることができる重要な役割です。②マーケターデータに基づいてどの領域が一番収益貢献が高いのか把握する役割です。当社の場合、注力テーマに合致しているSIerかそうでないか、コンサルファームなのか、エンドユーザーなのかという顧客属性と従業員数でセグメントを分けた分析を行っています。エンドユーザーはもちろん、SIerの中でも従業員1,000名以上の大企業、コンサルファーム(プライム)の中でも従業員1,000名以上の企業が売上貢献度と決定率が高いといった結果を突き止めるような業務です。生産性が高く売上貢献度が高い領域を特定し、これらの領域に対して優先して営業リソースを投下することを提案します。マーケターとしてのキャリアを選択する場合、マーケターに必要なスキルを身につけるトレーニングを実施します。例えば、LP(ランディングページ)の作成やSEO、リスティングやSNS等の広告運用といったものが挙げられます。③アカウントセールス(フィールドセールス)アカウントセールスはマーケティングのようなデータによる大局理解というよりも、関係性や決定権、その案件の緊急度や予算といった案件や担当者といった「人ベース」でアプローチする役割です。決定権の有無や決定における影響力の有無、月内に決めたいのか、3ヶ月以内に決めたいのかといったタイムラインなどを営業は気にしながらリソースを優先的に投下する注力案件を決めたり、動き方をプランニングしていきます。そして、アカウントセールスは商談進捗をSalesforceに入力し、「面談を設定した」「面談から最終面談に進んだ」、「最終面談でオファーを貰った」といったフェーズ管理を行なっています。商談状況をSalesforceのレポート、ダッシュボードで可視化することで「今月どの案件がクローズできそうか」「合計の着地はどのくらいになりそうか」といったForcast(売上予測)をSalesforceで管理しています。また、スコアリング機能により営業の勘と経験ではなく、データとして顧客ニーズや確度を正確に把握できるようになりました。より解像度の高い状態で顧客を理解できるため、インサイドセールスのトークや提案を顧客起点で設計でき、顧客との関係強化がしやすくなります。このようにインサイドセールスで身につけたスキルを元にアカウントセールスでも成果を出すための行動を取ることができます。④営業推進・営業企画営業の職務支援を行う「営業企画」の役割です。営業活動全体の数字から得られた示唆や問題点を投げかける営業推進としてのキャリアパスです。このスキルは当社だけでなく、他の企業でも市場価値として求められるスキルになります。大まかな担当領域としては以下のような整理ができます。戦略立案:セールスチームの戦略を立案する商品選定:セールスチームが販売する商品、製品・サービスの企画・選定数値管理:セールスチーム予算立案と実績管理、事業の推進ツール導入:必要に応じてセールスチームが利用するシステムやツールの新規導入教育:営業手法、教育・育成プランを企画と実行のサポート⑤採用や広報営業DX化を推進する過程で「業務の知見」と「ツールの知見」のかけあわせでインサイドセールスを回してます。実はこの進め方は、別の部門においても発揮できます。例えば、採用部門です。採用も同様にマーケティングオートメーションを用いたスコアリングの活用やタレントプールに対するナーチャリング施策等を行う「DX HR担当」としてキャリアを拓くことができます。タレントプールに対するナーチャリングを行いやすいのがMarketoやSalesforceを活用するメリットです。当社では、通常の選考プロセスにおいてはATS(採用管理システム)を使用していますが、タレントプールに対するMarketoとかSalesforceのような活用は、既存のATSでは機能的に難しいのが現状です。Marketoだとセグメント別のスコアリングがかなり細かく設定できます。ナーチャリングにおけるスコアリングが活用しやすい点、ダッシュボードが活用しやすくドリルダウンもしやすい点が大きなメリットです。他にも、広報部門におけるメディアリレーションをDX化する担当者としてのキャリアも拓かれています。このような形で各部門における、「DX担当」としてのキャリアパスを拓くことができるのです。労働市場では、SalesforceやMAツールを使えるメンバーの市場価値は非常に高くなっているため、従業員のキャリアアップにも繋がりやすい側面があります。まとめ:人事評価は成果評価だけでなく「能力評価」も加味GLナビゲーションの人事評価では、成果の達成度合いだけでなく、労働市場における市場価値についても評価します。当然、待遇を決める上でも基準値にします。このようにすることで、本人にとっても「自社で頑張ること=社会でも評価されること」がイコールになるため、納得感を持って業務に携わることができます。インサイドセールス業務を担当することが、自身のキャリアの可能性を広げ、マーケットの評価と連動して社内評価が積み上がることを実感することができます。