「1日100件電話をしろ、数がとにかく重要だ!」「インサイドセールスのKPIはアポ獲得数だ!1人あたり月間30件のアポ獲得必須!」「お客様の反応が良かったセールストークは?翌日に改善しよう」インサイドセールスの現場でよくある会話ではないでしょうか?部分的には間違いではありませんが、冒頭のようなインサイドセールス運用だと、組織の成長が停滞する可能性が大きいといえます。そこで本記事では、インサイドセールス運用で起こりがちな3つのミスを紹介するとともに、組織におけるインサイドセールスの「真の役割」をGLナビゲーションの具体例を示しながら解説します。目次インサイドセールス運用の間違い①とにかく数をこなすだけのマネジメント体制「テレアポ=数をこなす」という発想でインサイドセールスを運用するケースです。例えば、1日100件の架電数だけを目標として掲げるような、数に重きを置きすぎたマネジメントです。営業経験が少ないメンバーやマーケットの肌感覚を積むことを目的にするのであれば、数に重きを置くのも間違いではありません。しかし何よりも重要なポイントは、「行動に対する結果の検証」です。どのような仮説を立てて架電するのか、架電した結果に対する振り返りが重要です。振り返りを行い、仮説で明らかになったことを次に活かす場を設けましょう。例えば、「行動前と比べて、新たにわかったことは何か」「仮説と異なっていた事実は何か」「それを踏まえて次に行動をどのように変化させるのか」、このような問いを元に振り返りを行うことが数以上に重要です。インサイドセールス運用の間違い②KPIをアポイント獲得数に設定するKPIにアポイント獲得数を設定すると、質の悪いアポが量産されたり、受注に繋がらないアポが量産されたりします。そして、フィールドセールスとインサイドセールスの分断も起こりやすいです。マーケティングとセールスの壁にもよくある話ですが、「(セールス)粗悪なリードばかり繋げられても困る」「(マーケティング)こんなにパスしているのに全然決められない。提案力が低い」といった軋轢が生じる要因にもなります。GLナビゲーションの場合、インサイドセールスも売上目標をKPIに設定しています。ニーズを獲得してリードが獲得できたら、どの営業担当に繋げるのかもインサイドセールスに決定権があります。このような体制を敷くことで、マーケティングやインサイドセールスによくフィードバックしてくれるセールス担当者や決定率が高いセールス担当者にリードが集まります。売上目標(決定数)をKPIにすることで、インサイドセールスもセールスの担当者ごとの得意領域を意識しながらリードをパスすることができるため、同じ目標に向かって行動することができます。インサイドセールス運用の間違い③セールストークに関する振り返りしか行わない「切り返し話法」や「アポが獲得できる営業トーク」といったテクニックに重きが置かれがちですが、GLナビゲーションでは、インサイドセールスの組織上の重要な役割は、顧客のインサイトをキャッチすることや営業戦略の仮説の正しさを検証することにあると考えています。顧客との関係性構築や受注するためのセールストークの振り返りだけを行うような運用だと日々変化する顧客のニーズに気づくことができません。また、営業戦略の精度を高めるためには日々の顧客との接点から得られたフィードバックを元に改善する必要があります。顧客の立場に立つことが重要で、トークスクリプトを使って上手く話すことが重要なのでではありません。特定のセールストークに対して顧客がなぜその反応をするのか、「トークの裏側にある顧客目線」とセットでトレーニングをしていきましょう。インサイドセールスは、売ること以上に「正しく判断する」役割を担っているGLナビゲーションのインサイドセールスは、結果に一喜一憂するのではなく、アクションから得られた結果の背景を踏まえて、顧客を正しく判断する役割を担っています。立てた仮説に対して、顧客の反応はポジティブなのか、ネガティブなのか、ニュートラルなのか。それぞれの結果の良し悪しだけでなく、因果関係に注目した振り返りをおこなっています。言い換えれば「インサイドセールスに考えさせる」マネジメント体制です。振り返りをする際の会話は自然と、「結果に対して再現性があるのか、偶発的なものか、狙ったものか、自分たちの読みは当たっていたのか……」そういった内容になります。例えば、あるメンバーが1日60件の架電を行い、顧客ニーズの深堀りができなかったとします。ただ、15件の顧客で特定の手応えのある感触があったとします。その際、メンバーは以下2つの観点から仮説検証を行います。●振り返り観点①セールストークの内容<Day1>【アクション後の振り返り】トーク内容に問題があった。【翌日のアクション】セールストークの伝え方を別の内容に変更する。<Day2>【アクション後の振り返り】変更内容が顧客に上手く伝わって手応えを感じた。【翌日のアクション】同じセールストークで試す。●振り返り観点②仮説の内容<Day1>【アクション後の振り返り】製品「A(サービスの特徴X、サービスの特徴Y)」を「顧客リスト甲」に提案したら反応が良かった。【翌日のアクション】製品Aの「サービスの特徴X」に注目して、「顧客リスト甲」に対して、製品B(サービスの特徴X)を提案してみる。<Day2>【アクション後の振り返り】「顧客リスト甲」に対する製品B(サービスの特徴X)の反応は芳しくなかった。もしかしたら「顧客リスト甲」が注目しているのは、製品Aの「サービスの特徴Y」のほうかもしれない。【翌日のアクション】①「顧客リスト甲」の顧客に対して、「製品C(サービスの特徴Y)」を提案してみる。②過去、「顧客リスト乙」に「サービスの特徴X」の製品を提案してみる。<Day3>【アクション後の振り返り】①「顧客リスト甲」に対する「製品C(サービスの特徴Y)」の提案は非常に良かった。「顧客リスト甲」の関心は、「サービスの特徴Y」にありそうだ。②「顧客リスト乙」に対する「サービスの特徴X」の提案も非常によかった。「顧客リスト乙」の顧客の関心は、「サービスの特徴X」にありそうだ。【翌日のアクション】①「提案リスト甲」の顧客に「サービスの特徴Y」を提案する。②「顧客リスト乙」の顧客に「サービスの特徴X」を提案する。●GLナビゲーションの具体例を元に>DX支援先にコンサルタントを派遣するGLナビゲーションのビジネスを例に解説します。<Day1>コンサルタントAさん(メーカー経験50代・SAPスキル)を「従業員一人あたり売上高●●円以上リスト」に紹介したら反応が良かった。翌日は「メーカー経験50代」のコンサルタントBさんを同じリストに紹介してみる。<Day2>「メーカー経験50代」のコンサルタントBさんを「従業員一人あたり売上高●●円以上リスト」の顧客に紹介したら反応はいまいちだった。①翌日は「SAPスキル」を持つコンサルタントCさんを「従業員一人あたり売上高●●円以上リスト」に紹介してみる。②翌日は「メーカー経験50代」のコンサルタントDさんを「従業員一人あたり売上高●●円以下のリスト(●●業界)」に送ってみる。<Day3>「SAPスキル」を持つコンサルタントCさんを「従業員一人あたり売上高●●円以上リスト」に紹介したら反応がよかった。②「メーカー経験50代」のコンサルタントDさんを紹介したら「従業員一人あたり売上高●●円以下のリスト(●●業界)」に紹介したらこちらも反応がよかった。【分かったこと】・「従業員一人あたり売上高●●円以上リスト」には、「SAPスキル」を持つコンサルタントのニーズがある・「従業員一人あたり売上高●●円以下リスト(●●業界)」には、「メーカー経験50代」のニーズがあるまとめ:インサイドセールスの振り返りは因果関係を解き明かすことが重要以上、インサイドセールス運用において、よくある間違い3つをご紹介しました。「数をこなすだけ」「KPIをアポ獲得数にする」「セールストークに関する振り返りしか行わない」では、市場の変化や顧客のニーズの変化に対応することができません。インサイドセールスは顧客との接点を得る貴重な組織です。インサイドセールスの振り返りの精度を高め、因果関係を解き明かすことで戦略を磨いていきましょう。